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鶯歌の日々色々

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「コウカンコ」前編(ハルサツ)

今日は寒かったので、ほぼ一日暖かい布団の中でごろごろと…。
…漫画の続きも描きたいな~と思わないこともなかったのですが、暖房からやや遠い位置にあるパソコンの前にずっといることに抵抗が…。

と、いうわけでお布団の中でも持ち込めるモバイルPCをポチポチいじっているうちにバレンタインネタが思いついたのですが、微妙に途中の上にだけれど今日中にUPしたいという自分の中の折り合いをつけるためにここにUPしておきます。
話はハル→←サツキ状態のバレンタインの話です。

気になる方は下の「コウカンコ」前編をクリックしてたたんでいるものを開いてください。
ちなみに先週LPで配らせていただいたバレンタイン話とは別の話になっています。

コウカンコ 前編



「…お兄様」
「…なに、アキナ?」
「…まさかとは思いますが、それは誰かに送るためのものではありませんわよね?」
「…え?」
 不安そうにアキナに尋ねられた意味が分からず、ハルは妹に指差された自分の手元に眼を落とした。
 今ハルが持っているのは大きめの調理用ボール。
 そこには作りかけのマフィーの生地が、まだ材料が中途半端に混ぜ合わさっている状態で中に入っている。
 ハルは確認した後、不思議そうに小さく首を傾げた。
「…これはいつものことで、誰にもあげるつもりはないけれど…、…どうして?」
 一応妹の疑念に律儀に答えながら、ハルはアキナが質問してきた意味を問いかける。
 ハルが小説を書くことに煮詰まった時、まったく関係ないお菓子作りをしていることはアキナだって知っているはずだ。
 作ったはいいが一人で消費することが難しい時、セバスチャンと一緒に手伝ってもらうこともあるのだから。
 あげるような人が他にいない、…こんなものをあげたら数少ない友人達に何を言われるかわかったものじゃない…、ことも知っているはず。
 なのに何故アキナがそのことをわざわざ尋ねてきた意図が分からず、ハルは尋ね返す。
「だ、だって、今巷では、逆チョコなるものが流行っていると…」
「…逆チョコ?」
「…殿方の方から女性にチョコを贈る…」
「…ああ、バレンタインか…。…そういえば明日だったね…」
 やっとでアキナが懸念したことの意味が分かり、ハルはバレンタインに関する自身の記憶を照らし合わせる。
 バレンタインが日本ではお菓子業社の陰謀により女性が異性にチョコを贈るということになっているが、ハルは家族以外にチョコを受け取った記憶はあまりない。
 学生の頃、クラスメイトで部活仲間だった彼女に義理チョコを貰ったきり…
 そこまで回想すると、ハルはそれ以上のことを考えまいと回想をすることをやめてしまった。
 ろくな方向に行きそうない。
「…じゃあ、せっかくだし、今回はチョコ味にしようかな…」
「…え?」
 ハルの一言に、アキナは意外そうに不安そうに眼を見開いた。
 そんなアキナに、ハルは安心させるように微笑みかける。
「焼きあがったら食べてくれる?」
「…はい、お兄様。もちろんです!」
 ハルの言葉に、途端にアキナは嬉しそうに返事を返した。

 生地だけ作っておいたマフィーは一晩ねかされ、せっかくだからと次の日に焼かれてアキナに幾つか渡されることになる。
 チョコ味にしたマフィーの幾つかはアキナと一緒にいたセバスチャンに渡し、残りをハルは自分の部屋に持っていく。
 残りはいつもどおり、仕事の合間の気分転換にでも食べようと紅茶を飲む時等に使っているテーブルの上に置いた時、ハルの脳裏にふと想い人の顔が浮かんだ。
 …彼女は今日、誰かと過ごしているのだろうか。
 ふと頭に浮かんでしまったことに、ハルは溜息をはく。
 今年のバレンタインは、丁度日曜日。
 学校や仕事場に持っていくには多少都合の悪い日だが、恋人たちにとっては都合のいいことだろう。
 自分の知る限り、彼女には未だ恋人のいる様子はない。
 …いたとしたら、本を借りるためとはいえ他の男のところにのこのこ一人で出掛けていくことは流石に相手がとがめるだろう。
 だけれど彼女がもし、この日をきっかけに、誰かに想いを告げていたら…。
 彼女が素敵な人であることは、よく知っている。
 きっと告げられた相手も嫌な気持ちにはなることはないだろう。
 幸せそうな笑顔を、今頃浮かべているのだろうか。
 ハルは想い人の笑顔を脳裏に思い浮かべ、いつもどおりに幸せな気持ちになるこはなかった。
「ご子息」
 嫌な気持ちに胸が覆われかけた時、部屋の戸が軽く叩かれセバスチャンの声が外から聞えてくる。
「なに、セバスさん」
「早坂様がお越しです」
「……え?」
「どうぞ」
 セバスチャンに言われた意外な言葉にハルの頭の理解が追いつく前に、彼女はハルの許可なく部屋の戸をあけてしまう。
 セバスチャンに開かれた扉、すぐに身体を端によせたセバスチャンの更に向こうに立っていたのは、少し所在なさそうな不安そうな顔で立っていたサツキだった。


≪続く≫
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